震災から9年
覚えている
学校でいちばん古い建物だった礼拝堂で被災したことを
覚えている
飛び散ったガラスや盛り上がった地面、歩きにくさを感じるほどに変わっていた通学路
覚えている
3月にもかかわらず雪が降っていたあの日
津波で家族を喪ったあの子は元気だろうか
なぜ、あの子だったんだろう
なぜ、俺じゃなかったんだろう
あの日喪われた命を知る度に
思ってはいけないとは分かっていても
そう感じてしまう
でも、そう思う度にもう1つ思い出す
あの日の夜に見た星空を
街から全ての光が消え
本来見えるべき夜空が見えた
こちらから見た星も
また、あちらから見ていてくれていたアイツらも
俺は覚えている
見られているからこそ、まだ、背は見せられない
そう思ってあの日々を生き抜いた
もう9年も経っている
俺には、つい2、3年前のように思い出せる
いつかはこのことも忘れてしまうのだろう
だから、思い出せるうちは、こうやって書いていこう
祈りのように
戒めのように
教訓のように