WENさんのblog

Twitterでは伝えきれないことを書きます。閲覧は自己責任でお願いします。

過去

もし、過去に戻れたら

 

何度願ったことだろう

 

あの子を失った日?

 

いや、もっと過去へ

 

おそらくあの子に出会う前

 

あの子と出会わないようにするんだろう

 

出会わなければ、きっとあの子は死ななかった

 

そう思えてならない

 

少なくとも「失った」という認識はなくなる

 

でも

 

やっぱり変わらないんだろう

 

出会わなくてもあの子は死んで

 

それでも俺はあの日走ったんだろう

 

過去に戻れるなら

 

きっと何でもした

 

どんな汚いこともしたんだろう

 

ふと、今の俺はどうなのだろうかと考えた

・・・戻らないっていうんだろう

この声は届いている

あの子の声は覚えている

あの子はここに居て

俺もここに居る

過去はどうしたって過去でしかないのだ

死んだ人は帰ってこない

失敗は失敗なんだ

 

なんで俺なんだろう

そう思ったこともある

寂しくて

何度も名前を呼んだことがある

無意味だと知っていても

過去のことになってしまっているとわかっていても

 

ただ反響する自分の声に

少し胸が痛くなった

いつか忘れるとしても

『誰かの笑顔を作りたい』

あの子の夢を覚えている

正直に

真っ直ぐに見たあの子の目

眩しすぎて

『お前はどうしたい?』

そう聞かれている気がして

思わず目を逸らしたことも

 

やりたいことなんてなかった

流されるままに生きてきた

なりたいものもなかった

子供の頃から自分に希望を持てなかった

大人になって

やりたいことが出来た

なりたいものも何となく見つけた

 

でもまだ足りない

まだ出来てないことが多すぎる

もっと

更に遠くへ

 

このままじゃ誰の記憶にも残らない

いつか忘れられて

本当の意味で死ぬんだとしても

少しでも長く誰かの記憶に残りたい

誰かの記憶で生きたい

そのためにはまだまだ足りない

 

俺がここにいた証を残して

もしまた人間として生まれ変わって

その時はもう覚えてないだろうけど

その時の俺が憧れるような

そんな俺でありたいから

 

立ち止まれない

いつかの明日にやりたいこと

 

夢を叶えた仲間たちと笑って酒を飲みたい

その時は、俺もやりたいことをある程度やって

充実した毎日を送って

思い描いた未来にたどり着いてるといいな

 

まだ顔も知らない

声しか知らないネットだけの付き合いの人

そんな人も

俺より俺の事気にして

心配して

信頼してくれてるなら

俺にとっては仲間だ

血の繋がりすら超えられそうな

そんな仲間に

 

夢を叶えた仲間たちを見て

もしその時俺に恋人や子供が居たなら

教えてやりたい

『あれは俺の家族みたいに大事な仲間だよ』って

 

お互い輝いていよう

高めあってさ

自慢しあっていこう

 

いつか来るその日に

笑って終わるために

夢を駆ける

目を覚ますと電車の中だった

見慣れた車内に、自分しか座っていない座席

不自然な状況

ポケットの中に携帯がない

腕時計もしていない

車内アナウンスもなく

ただ電車の進む音だけが響いている

 

どこへ向かう電車だろうか

焦りと不安の中、電車は緩やかにブレーキをかけて駅に止まった

駅名も電車を待つ人の姿もない

立ち上がり、電車を降りてみる

駅のホームに出るのを見届けていたかのように電車は扉を閉めた

 

エスカレーターを登っている時も誰一人見かけなかった

何も情報はなかったが、駅の構造だけははっきりと見覚えがあった

 

階段を駆け上がり

駅を出て見える光景

もう開いてない店が開いていて

今は駐車場になっているはずの場所に建物がある

中学の時見たままの街並み

12年前のあの日なんだと

助けてという声を聞いておきながら

選択を迷って

受験を優先して

自分を取って

初恋の人を亡くした

あの日だと理解した

同時に、これは夢だということも理解した

 

でも俺は走っていた

もう、あの子のことは乗り越えたつもりだった

それでも身体は動いていた

夢だと認識していても

あの子の家の方角へ

 

夢でも構わない

もし、助けられるなら

あの子の笑顔をまた見れるなら

話したいこと話せるなら

探していた星、見れたよって伝えられるなら

 

ちゃんとお別れを言えるなら

それだけを考えて

夢を駆けていた

 

足が止まりそうなくらい痛い

着く前に目が覚めるかもしれない

だから止まるわけにはいかない

 

いつも集まっていた空き地に人影を見つける

大人の女性だった

少し下手くそな歌を口ずさんで立っていた

俺を見つけるとあの頃と変わらない笑顔でこう言った

『必死に走っちゃって、変わらないね、君は』

息を切らしながら俺も笑いながら答えた

「でも、強くなったよ」

お前のおかげで、良くも悪くもな

『知ってるよ、で?その強くなった人が必死にこんな所まで走ってきて、なんの用かな??』

とイタズラっぽく笑う

言いたいことはいっぱいある

話したいこともいっぱいある

伝えたいこともいっぱいある

でもそれら全ては時間も言葉も全然足りない

だから

「お礼と、お別れ、かな」

『・・・本当に強くなったね、君からその2つは出ないと思ってた』

「それは弱い云々というより非常識なんだよなぁ」

『私が居なくてももう大丈夫なの?』

急に胸が苦しくなる

あぁ、そういうことになる

もう会うことはなくなる

夢の中でも

「そうなるね」

『やだ』

・・・はい??

『勝手に大人になるな』

「わがままか」

『君が死ぬまで何もしないでじっと見てろっていうの?やだつまんない』

「えぇ・・・」

『これからは私が勝手に会いに行くからそのつもりで』

「怨霊かお前は」

『でも、お礼だけは受け取っとくね』

「あれひょっとしてこれ悪夢?」

悪夢なら覚めてくれ

『あ、伝え忘れるところだった』

「何?」

『私のことで後悔しないで。今日必死に走る君を見て、私は十分救われたから。いつまでも悔やまないで。君の選択は間違ってないから。歌も、声も届いてる。もっと心から笑っていいんだよ』

「それは・・・」

まだ後悔していたんだろうか

きっとしていたんだろう

「わかった」

『いつか聞かせてよ、君が心から笑い合える仲間のこと』

「そのうちな」

 

目を覚ますと自宅のベッドの上

覚えてるうちにずっと忘れていたあいつが好きで歌っていた曲を再生リストに突っ込みながら思った

『別に死者はお盆にしか帰ってこない訳じゃないらしい』と

声が届かない

 

歌にどれだけの想いを込めても

 

配信にどれだけの力を入れても

 

書き込む言葉にどれだけの意味を持たせても

 

何をどうしたって

 

本当に届いて欲しい人に届かない

 

本当に聴いて欲しい人に

 

それはきっと、俺に力がないから

 

発言力も

 

発信力も

 

何もないから

 

とても無力で

 

そしてそれが俺の限界なのだ

 

何かしているようで

 

まるで何もしてこなかった

 

怠惰の結果

 

この声も

 

誰に届くって言うんだろうな

 

 

初恋を覚えている

あの気持ちを、まだ覚えている

 

手を繋いだ時の温度を覚えている

 

内容のない会話で笑ったあなたの顔を覚えている

 

夢を嬉しそうに、そして悲しそうに話していた時の顔を覚えている

 

あなたの下手くそな歌が好きだった

 

怒った顔も

笑った顔も

泣いてる顔も

照れてる顔も

寝顔も

声も

全部覚えている

 

亡くした悲しみは忘れはしない

一緒にやるはずだったことも忘れない

あなたの夢も忘れない

別れすら言えてないことも、忘れない

 

永遠じゃなくてよかった

一緒の学校じゃなくても

居てくれるだけで

よかったんだよ?

 

 

あなたは、覚えていますか?

一緒に叫んだあの日を

届いていますか?

いつまでも呼び続けているこの声が

 

あの日見た星を

覚えていますか?

鏡像

 

壊したい

護りたい

光は残酷

闇は残忍

夜の闇は綺麗で

昼の光は心地いい

全て奪いたい

全て救いたい

絶望を謳え

希望へ導け

解き放て

邪魔をするな

誰だって自分のことしか考えてない

誰だって誰かを想って生きている

正しさなんてつまらない

正しくなくてもいい

どこ向いたって真っ暗でしょ?

それでも前へ進むのが人間だろ?

全部壊して楽になればいいのに

楽だけの人生じゃ心から笑えない

君はこっちの方が向いてると思うよ

かもしれないけど

 

それじゃやりたいことができないんだ

そんなに人間は綺麗じゃないよ?

綺麗じゃなくても見たい景色がある

汚れた手でどこへ行く?

まだ見ぬ明日

折れた翼じゃ飛べないよ?

足さえ動けば登れるよ

無駄な生き方

退屈な生き方だけはしたくない

 

いつまで抗えるかな

いつまでここにいる気だ

 

俺たちは鏡像

98%同じで

2%別人

だから

 

死ぬまでこのまま